私説・高等学校図書館論 2

2.高等学校図書館は見えているか?
  透明人間といえば、実体はあるのに見えないのか、実体がないから見えないのか?それはともかくとして、高等学校図書館は、多くの人の目に見えているのであろうか?

2−1 司書教諭は見えているか?
 司書教諭は、学校図書館法第5条に「学校には、学校図書館の専門的職務を掌らせるため、司書教諭を置かなければならない」と規定されている。また「学校図書館法附則第2項の学校の規模を定める政令(平成9年政令第189号)」で、学級数が11以下の学校では、「当分の間、司書教諭を置かないことができる」とされ、学級数が12以上の学校においては、置かなければならないこととされている。

  一般に高等学校には国立・公立・私立がある。私が本稿で扱うのは、公立と限定しておこうと思う。守備範囲が広いとエラーが続出するからである。公立だけでも大変大変。統計書を探すだけでもおたおたしている。(私が読み取ると、統計に矛盾がでてきて、学校総数が合わなくなったりするからだ。どなたかバックアップサポートしてくれませんか?)

公立高等学校数は「学校図書館の現状に関する調査 文部科学省児童生徒課PDF」によれば、12学級以上ある学校が2920校、11学級以下の学校が682校 合計で3602校ある。内12学級以上校の司書教諭配置率が99.2%で2897人、11学級以下校のそれが23.9%で163人で合計3060人(1校1名配置だと勝手に解釈して2名がどこかに消えるのだ!)

この司書教諭発令の実態は、はたしてどうなのか?その実態に迫った調査は、私の知る限りではないようだ。全国学図書館協議会あたりで実態調査がなされているのであろうか?
①届け出書類上だけの発令で、教員の誰もが誰が司書教諭か知らない。
②司書教諭の発令があり、名前は知られているが、仕事の実体はない。
③専門的業務の大半を「学校司書」と呼ばれている学校図書館担当職員に任せているが、その仕事を管理する立場を意識した司書教諭がいる。
④司書教諭が専門的業務を半分近くは処理し、残りを学校図書館担当職員に任せている。
⑤司書教諭が専任で学校図書館の管理と運営をしている。
   
どう見ても①②では透明人間と変わるまい。残念ながら、わが校は①である。

このようなことが、つまり、学校図書館法という法律を形式上はともかく、事実として無視する行為が学校という生徒を教育する現場で公然と行われている。それは、高等学校図書館が社会の目にさらされていないことを示していて余りがあるのではないか。そうして、法律を軽視して恥じることのない体質が昔から文部省あるいは教育界にはあったのではないか?そう邪推する悪魔がいる。果たして、その悪魔の正体とは?
  明日へとつづく