日記最終章 夢は破れるもの

アルバイト日記は今日で終わりにいたします。長い間ご愛読感謝いたします。たとえ少数でも読んでくださる人がいらっしゃったからこそ続けられました。

ただ、土曜日・日曜日の「WEB記事案内」は種が尽きるまで続けるつもりでいますので、時々覗きにきてください。

最終章の今日は、(おそらくは)果たせなかった夢について書き残しておきます。

図書館人にとって、新しく図書館を設計するチャンスは、そんなにあるものではない。50年近くになる私の図書館人生のなかでも一度だけリフォーム案を見せられて、意見を申し述べた経験があるだけである。それも骨格が決まったあとの、小さな部分、休憩室に購入決定後の椅子テーブルをどう並べるかの意見を徴された経験があるだけだ。

その私に二つの学校図書館を統合し、新しい図書館(リフォームなのだが)を設計するチャンスらしきものが回ってきた。夢の舞台である。そこで統合の話の最初から、立場を弁えずに積極的に発言してきた。が、結局は、それも単なる私の独り相撲で、ほとんどすべては多分無視されたであろうと思う。

自分の提言のすべてが無視されるのを自分の目で見るのは悲しいに違いない。それが、3月まで引退を待たなかったもうひとつの理由である。

さて、その提言について、折に触れて、この日記に書いてはきたとは思うので、最後は、大枠だけを書き残したい。

4階建て校舎の最上階の片隅にある図書館に生徒や先生の目を惹きつける方策をまず最初に考えるべきだと思った。(私は1,2階で教員室の隣がいいと考え提言していたのだが、それは初めから検討もされなかったようだ。)

図書館の魅力の最大のものは資料の新鮮さと豊富さである。次に魅力的で力のある人である。(この資料と人についてもほとんど検討もされなかった。購入費なんかは論外だったと私は思っている)このすべてが無視されるなら、残るのは設備の斬新さだろう。

書架とその配置くらい、掲示板の形状くらい、入り口ドアの総ガラス張りくらいは実現したいと最終段階では、それに絞って意見を述べさせていただいた。それから、壁や天井や床の配色についても。

つまり、学校の中の一教室ではない、生徒たちがゆったりと寛げる異空間(夢空間)にすべきであると主張したのだ。そうでないと、わざわざ特別教室だけが並ぶ4階まで生徒は上がってこない。3階からの4階への階段も図書館へ誘う階段に。踊り場にもミニ展示等が展開できる掲示板(ポスターをピンで留めるだけのものではない立体的な展示が可能な掲示板)をおき、可能なら大きなぬいぐるみでも置きたいと・・・。

もちろん、BGMとか香りとか生花とか・・・。夢として空想として、ゴタクとして、誰かの耳を素通りしたようだ。結局、仕事を具体的にすすめる当局は、図書館現場の意見を聞き取ったりしなかった。委託された業者も、生徒が利用している現場を見にくることもなかった。物理的にはごく近くにいるのだが、心理的には随分遠くにいたようだ。

結局は、いかに生徒のためになる図書館をつくるかではなく、いかに安くつくるかだけにポイントを置いたと言わざるをえない。そんなリフォームだったようである。ひとつだけ実現可能性があるのは、一枚の簀の子状態の木製で楕円形の優しい感じを与える大きな掲示板だけのようだという噂を聞いた。

本当は階段踊り場にも必要で2枚要求だったのだが・・・。