学習する学校

世界の中心で愛を叫べば世界に愛が広がるーーーことは残念ながらないだろうが、世界に伝わることは伝わるだろう。
辺境の地で何を叫んでも何処にも伝わらない。

このブログで『学習する学校』に図書館の記述があるかどうかを、日本中の学校図書館関係者に問いかけたつもりだが、誰にも伝わらなかった。もちろん、想像したとおりの結果だった。世界の中心で叫ばなくてはいけない。日本中の学校図書館関係者の大多数が毎日見るサイト=これが世界の中心だ。

学校図書館現場は孤立している。それをカバーするのは、情報の共有だ。日本中の学校図書館関係者の大多数が毎日見るサイトをつくりあげること、これが肝要だと多くの先達が思い、現実にいくつかのサイトがつくられているが、世界の中心になっていない。大変残念である。

いろいろな疑問に応えあう「Q&A」コーナーの設置から始めて欲しい。極論すれば、これがないから世界の中心にならないのだ。

さて、『学習する学校』* 誰からも応答がなかった。なければ、自ら調べるしかない。885頁に及ぶ大部な書物の全頁を「図書館」という文字を探して捲ってみた。精読したのではなく、索引を作る作業をしただけだ。その結果を以下に記す。

コンピュータを使ったり図書館に行ったり、その分野の詳しい人にインタビューしたり、町にある水族館や海岸などにフィールド調査に出かけてもいい。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・152頁

本書の著者は(現在は図書館の司書・児童文学の専門家)、この本を書いたときは、シカゴ都心部の小学校5年生を教える仕事に就いたばかりのやる気満々の24歳だった。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・266頁

数人の生徒は図書館で何かの問いについて調べており、フランクはその子どもたちと一緒にいたのだ(まだインターネットが普及しない時代の話だ)。・・・・・・・・・・・・・・・・・436頁

教育に関する活動は博物館、オーケストラ、公共図書館、ボーイ・スカウト、劇場、文化保存団体、公共サービス、宗教組織、地方の法律関係団体、ヘッド・スタート[訳注:1960年半ばにはじまった低所得者層の幼児を対象とした公的事業]、ビジネス界など、コミュニティの中の多数の機関で行われている。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・703頁

地方の図書館にこの本が3冊所蔵され、いつも誰かが借り出している。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・816頁


  *『学習する学校ー子ども・教員・親・地域で未来の学びを創造するー』 ピーター・M・センゲ ほか著 リヒテルズ直子訳 英治出版 2014

『学習する学校』には、学校図書館を意識した章や節はない。重要視するという記述もない。けれども、上の「索引」から類推できるとは思うが、学校図書館公共図書館は、普通に存在している。
あってごく当たり前だと捉えられている。

 最後に『学習する学校ー子ども・教員・親・地域で未来の学びを創造するー』評を。論文集のような作りでできているので、自分の気に入った、あるいは関心のある頁だけでも読んでみる価値はある。ただ、それだけのために5184円する本を購入する価値があるかとなると??図書館で借りると返却期限が気になる??本旨が「協調して未来を創造する」にあるのだから仲間と共有するのが一番か!