私説・高等学校図書館論 10

 昨日で「運営の問題」まで書いて一段落、今日は「研修」について書いて終わりにするつもりであった。が、「運営」で書き忘れがあったので、区切りは悪いが(そんなこと気にするほどのものではないが)
4−8 読書に誘うひとつの試み
 「スタンプラリー」というカードをつくった。ネーミングのおさまりが今一つ気に入らないのだが、とにかく、活字離れ、図書館離れの生徒をどうすれば図書館のお得意さんになってもらうかを考えて導入した試みを紹介しておく。
 「心が疲れたときに薦めたい10冊」「頭が良くなる菜乃香のおすすめ」等々のタイトルを持つカードを置いておいて、読み終えたときにカードにスタンプを押す簡単な方法。現在6コースある。何を読んだらいいのか迷っている生徒にすすめると、何人かはのってくれる。去年から実施しているがコース完走者は6人で9コース。2人は複数コース完走。
 これは単に生徒を意識しただけのものではなく、十分に教員を意識したものだ。だが、それには、失敗している。4−1で教員への接近の一方法として「新着図書案内教師用」の作成をすすめたいと書いておいたが、この「スタンプラリー」も実は教員に積極的に参加していただきたいと企画した。
 司書教諭がいれば、その先生を通じてPRできると思っているのだが、現在の私には、たまたま図書館を訪れる先生に個別的にお願いするくらいの力しかない。3,4人の先生にお願いして(いい返事をいただいていた先生が異動になるという不幸もあって)1名の先生の「カード」が動いているだけである。
 数学、化学、地学、生物、すべての科目の先生に生徒に読んでもらいたい図書10点ばかり紹介していただければつくれる簡単なものだと私には思えるのだが・・・。
 国語の若い先生に「短編で回る世界一周」で作れませんかと具体的に提案し、いい返事をいただいていたのですが、若い先生は、他の国語科の先生が気になるらしく、独断専行が出来ないようす。先生には先生の世界があるようで・・・。
 英語科には半ば強引にgraded readers の初級・中級から3コースつくっていただき現在1名が3コース全点読破間近になっている。

4−9 「落ちこぼし」をなくそう!
 学校では授業がある。授業は通常、そのクラスの中位の生徒の反応を見ながらすすめるとか?当然、授業についていけない子どもが出てくる。その生徒は、どうしている??「分からなければ手を挙げて先生に質問をすればいい」そうできない子への対策は??どんな対策が取られているか、私は現実を知らない。知らないが、図書館でも、その対策が部分的にはとれると考えている。
 図書館のレファレンスは「学校の宿題」には直接的な回答はしてはいけないとされている。学校の図書館では特にそうであろう。果たして、これは正しい対応だろうか?授業についていけていない子に対しても「宿題」の援助(=レファレンス)はいけないのだろうか?
  さらに、授業全般に対して、「わからないよ!!」と悲鳴を上げている子どもを、図書館が助けていけないのであろうか?
  私は、積極的に助けるべきだと思っている。もちろん、悲鳴を上げている子を全部助けられるとは思っていない。ごく何分の一かに限られるかと思う。
  そこで私は「なんでも質問箱」を設置した。「なんでも」の中には、対人関係等々の心理面での相談や進学相談のようなものも混じる。それぞれ保健室や進学相談室があるのに図書館に相談する。(相談できるところが複数あるのがいいのだろう)
  そういう相談のなかに「授業で分からなかったところを具体的に聞く」「試験で×をつけられたが、わたしは絶対○だと思う」という相談があってしかるべきだと思う。
(残念ながら現在「授業と試験」の相談はゼロ)
  もちろん、図書館員がこれらのすべてに答えることはできないし、してはいけないときもあるだろう。そのときは、図書部長から科主任に連絡し回答をいただく手筈はつけているが。
  要は、図書館が「出来ない子」「困っている子」の味方だよというシグナルを送ることが大切だということなのだ。(そのためには生徒に図書館が信頼されていなければならない。そのためにはどういう職員が用意できるのかの問題もある)
  私は、パートタイムアルバイターで、高齢の男子。生徒は全員女子、「いやなジジ―」と思われているかもしれない。できることには元から限界がある。だから何もしないとは私は思はない。出来ることをする。今、目の前にいる生徒の役に立つことをする。
  図書館の第二保健室化も、それで救われる生徒が一人でもいれば、それでいいではないか。

5 変わるのは自分からー研修の問題
  全国の学校図書館で働いている方々、総数で何人いらっしゃるのでしょうか。大抵が一人職場でしょうか。それも恵まれない条件で。そういう立場にいる一人としてお願いしておきたいことがあります。

5−1 公の研修会の記録はできるだけ詳細に記録して、ネット上にアップしてください。 
 研修会開催要項まではネットにあって記録がでない研修会が多いと思います。事務局多忙。サイト運営ができない。理由はいくつもあるでしょう。全国は広いです。出来るところからお願いします。折角の研修会をより多くの仲間にひろげてください。
5−2 サイトをお持ちの団体にお願いがあります。Q&Aコーナーを設け、公開してくださるようお願いします。
 一人職場で相談したくてもできない仲間が全国にたくさんいます。気軽に質問して、すぐ回答がくるサイトが欲しいのです。
 たとえば、『「なんでも学べる学校図書館」をつくる』片岡則夫編著 少年写真新聞社 2013 ¥2310 を購入したいとします。2320円は少し高いので慎重になります。サブタイトルにブックカタログ&データ集 「中学生1,300人の探究学習から」とありました。

 「ブックカタログとデータ集」具体的にはどんなものでしょう?高等学校図書館にも役立ちますか?
 アマゾンほかの商品案内でも詳細が分からないときに相談できるところが欲しいのです。

すべての学校図書館に関する本にレビューを手分けして書いてくださるグループがあってもいいのですが!

さて、この誰も期待していない「後進への遺言書」今回で最終回とする。この文章は人格権を除いて著作権フリーとする。と昨日書いた。間違ったことを書いた。同一性保持権は人格権の一部だった。同一性保持権も放棄する。ダウンロード・コピー好きなように使って欲しい。使えるところだけを抜き取るのも自由である。誰かの役に立ち、それが結果として、「子どもたちの分かったという喜びと笑顔」につながれば、こんなにいいことはない。