私説・高等学校図書館論 9

4.高等学校図書館は隠れている

階段を疲れた脚で上る。4階まで上る。上りきった端にある図書館の扉は閉まっている。
扉は木製で図書館の中の様子は、それでも目の位置に四角に小さくあいたガラスの覗き窓から見ることはできた。できたが、そこは貸出カウンターのあるところで、書架は一歩中に入ってから、さらに左手にある扉を開けた向こう側の部屋にあった。書架は横向きで、まだ、背表紙は見えない。

私の働く図書館は、このようなところである。生徒からも、先生からも「隔離」されている。そんなところで考えた貧困からの脱出法を列挙してみる。夢物語はなるべく控えて現実的に。
          
4−1 図書館は職員室の隣に
  その昔、私が通った高校の図書館は独立した建物であった。だから、いちいち靴を履き替えるのが面倒で、めったに行かないところであった。
  同じ棟に置くなら職員室の隣がいい。職員室を不便な最上階には置かないだろうからというのは半分以上本音。建て前は「図書館は教材メディアセンター」で教材を扱うから、図書館は、先生の便利な場所に置くのが当たり前だと思う。
  書架に並ぶ図書もまた教材でもある。教師が無関心では困るのだ。
 (図書館の移動は夢だとしても、教員への接近は常に心がける。教師用「新着図書案内」の発行から始めようと思う。)

4−2 図書館は、廊下側からは丸見えに
  隔離された図書保管庫から脱出する第一歩は扉をまずガラス張りにすること。楽しみと未来を拓く宝庫への入り口なのだ。

4−3 ホームページに図書館枠を
  隔離からの脱出が一気に全世界規模にできるホームぺージの獲得は、それほど難しくはないのでは?学校にはすでにホームページがあるはずだから。受験生獲得に役立つとっておきの写真を載せる。利用統計も載せてほしいが、これは受験獲得に逆効果か??

4−4 卒業生も保護者も正規の利用者に
  卒業生にも保護者にも関心を持っていただくこと。それには利用者になっていただくのが一番。利用規定にきちんと載せよう。

4−5 学校公開でも文化祭でも図書館PRを
  (アルバイトの私は、学校公開日も文化祭も休みになることが多い。図書館が閉鎖されるからである)積極的に開いてPRを。文化祭でも図書委員の生徒の活躍の場に。ビブリオバトルやリテラチャーサークル方式の読書会など積極的に行う。

4−6 各種催しものに積極的に参加する
  (もちろん、生徒の自主的な意思を最優先にして)「どくしょ甲子園」「文春文庫プレゼント」等々の催しに積極的に参加する。PRにもなる。購入費の補充にもなる。

4−7 国立国会図書館にもない資料の所蔵を
   自分の高校が制作した公開できる文書類は細大もらさず収集し保存する。求めがあれば貸出せるように複数を所蔵する。「学校要覧」「PTA広報」「図書館だより」「生徒会ニュース」その他、部活動に関連した資料「吹奏楽定期演奏会パンフ」等々・・・。(卒業生が有名になり高校時代の活動ぶりが振り返られる可能性はどこの高校にもある)

さて、この誰も期待していない「後進への遺言書」明日で最終回とする。明日もまた、書くと思うが、この文章は人格権を除いて著作権フリーとする。ダウンロード・コピー好きなように使って欲しい。使えるところだけを抜き取るのも自由である。誰かの役に立ち、それが結果として、「子どもたちの分かったという喜びと笑顔」につながれば、こんなにいいことはない。