おたく本とは何でしょう

一人の生徒が、仲間の図書委員と話しているのが聞こえました。しきりに、「図書館では、おたく本を買うべきではない」と言ってるのです。
3週間くらい前にも、同じ生徒だと思うのですが、同じことを独り言で言っていました。別の職員も、別の日に同様の言説を聞いていました。

私に尋ねたのであれば、きちんと対応したのですが、雑談のようにも聞こえていたものでしたから、聞き流してきましたが、今日、同じ人が、同じことを3回も言っていたということに気がつきました。鈍い反応でした。

その生徒の言う「おたく本」がどんな本を差しているのか、私には分からないし、第一確かめてもいないのですが、この春高校を卒業した別の職員の話だと、電撃文庫中の「バッカーノ」とか「デュララ」のような本を差しているとのことでした。

それにしても、三回も同じ話を繰り返しているところを見ると、彼女には信念があるようです。図書館には、この種の本を置くべきではないという信念が。その信念を図書館に来る度に否定されているようでガマンならないのかも知れません。

人それぞれに価値観があり、それぞれ違いがあります。私は、多様性を否定した絶対的購入基準は設けるべきではないと思っています。公序良俗に著しく反するもの以外は、できるかぎり読む人の自由に任せるべきであると思っていますので、生徒からリクエストが出たので購入した「バッカーノ」とか「デュララ」のような本の購入を止めろという彼女の主張には賛成できません。

ただ、むこうから言ってこないのに、「君の考えはこういう理由で了解できない」と言ってやるのも、抵抗があります。どういう信念でも、できるかぎり尊重してやりたいと思っているからであります。

  入館者数  25名  貸出者数  6名  貸出者数  14冊