ヴェルレーヌ 秋の歌 つづき

今日はテスト最終日、部活を除き、生徒たちは早々と帰っていきました。よって図書館では閑古鳥が鳴いていました。ヴェルレーヌの秋の歌の翻訳、先に4篇紹介しましたが、今日は2篇追加します。

秋の歌

橋本一明訳

忍び泣き
ながくひく
秋の ヴィオロン
ものうくも
単調に
ぼくの心を いたませる

時つげる
鐘の音に
胸つまり あおざめて
過ぎた日を
思い出し
ぼくは泣く

性悪の
風に吹かれて
ぼくは行く
ここ かしこ
吹き散らう
落葉さながら
(『世界文学全集』別巻一「世界名詩集」 河出書房新社 昭和44)

秋の歌

渡辺洋訳

秋の日のヴィオロン
すすりなき ながびく
わが心 ものがなしく
単調さに いたむ

時つげる鐘の音に
胸つまり 青ざめる
昔 思い
われ 涙す

悪しき風に吹かれ
あち こちと
われ さまよう
風にまう
枯葉のように
(『カラー版 世界の文豪叢書[8] ヴェルレーヌ』 河出書房新社 昭和51)